怒られた話

深夜に友人から凸電された。だらだらとスマホを触っていたらいきなり電話がかかってきた。
怒られた。私の夫が他所の誰かとホテルに行っていたことを彼女に言っていなかったこと(私はすっかり言った気でいた、そのくらいなんでも話していたから)、そんなことをされているのにまだ別れていないこと、要は、私が私を大事にしていないことを怒ってくれた。ちなみに彼女は、私が相談したもう1人の友人からその事を聞いたらしい。私は彼女とその友人にかねてから夫のことを相談していた。
夫には私が受け入れられない行動がいくつかある。ストレス発散と称して継続的にガールズバーに行ったり、ガールズバーの女の子のバースデーは祝いに駆けつけ(それも深夜勤を抜け出して)数万使ってくるくせに私には1度も誕生日を祝ってくれた事がないとか、女性と2人で遊びに行くとか。それを悪いと思っていないこと。私を悲しませたり心配させたりするのには悪いと思っているが、友達と二人で遊ぶだけで何が悪いのかと。セックスがそんなに大事なのかと。これらをのたまう彼の姿に、私は最早異文化を感じた。早く離れるべきだったし、私はもっと自分を大事にするべきだった。ここで自省を書くのは本題では無いので割愛するが、とにかく夫はそんな人だったから私は徐々にその異文化との限界に気づいていた。二人でいる時はくっついてきたり甘えてきたり可愛らしいところもあるのだが、思えば甘えられてばかりだった様な気がしてくる。私も彼に支えられた事があるのは自覚しているが、それにしても、である。
友人は、そんな夫から離れられていない私を怒りに電話してきたわけである。そして言ってきたのだ、動かなきゃいけないんだよ、と。全くその通りなのに、彼女が、夫の遊び相手がどんなつもりでいるか(私に優越感を感じているんだろうとかそんなこと)、慰謝料を取った方がいいとか、ガールズバーに乗り込もうとか、血気盛んなことを言う度に私はなぜかムカムカとしたものを感じて泣きたくなった。友人の情の厚さに感動だけしておけばいいものを、遊び相手の気持ちなんか知りたくもないし関わりたくないのにとか、慰謝料を払えるような稼ぎじゃないし金の縁も切りたいのにとか、乗り込んで何をするのとか、モヤモヤとしてしまった。こんなにも人のことに熱くなってくれる友人なのに。私はこの時、私たちの問題に勝手に入ってこないでくれと思ったのかもしれない。ならば人に話さなければ良かったのに、同情が欲しかったのだろうか、後押しされたかったのだろうか。元々は後者である。自分では手に負えなくなって、感情も持て余し、今後のことを判断する力も失い、そもそも自分自身の考えや感覚に自信を失ったから彼女達二人に話したのだ。話して、自分の考えや感覚に自信を取り戻して、今後の判断に意見をもらって、持て余した感情を昇華させたかったのだ。彼女達は見事に応えてくれているのに、変化を恐れる私がモヤモヤムカムカとこの助言を受け止めきれずにいた。受け止めきれずにいる自分に、自分より私のことを大事して叱ってくれている友人の温かさに泣きそうだった。こんな身勝手な私に、よく出来た友人がいるものだ。
電話の終わり、次夫と会う時には離婚の話を再度するようまとめられた。ここまで後押しされたのだから、私も勇気を出さねばならない。今後の生活を思うと今から胃が痛い。だが、動かなきゃいけないのだ。自分で自分を大事にすることを選ぶのだ。